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『朔が満ちる』窪 美澄 読みました。
子どもの頃に虐待を受けた子どもが成長過程でどう親を思うのか
また受けた虐待によってどのような思考をもって成長していくのかという物語でした。
父親から、母親とともに虐待されて育った史也がなんとかその状況から逃げ出し
伯母のところで過ごし、そして東京へ進学します。
しかし、幼少の頃に受けた虐待、そして自分が起こした行動について頭から離れることはなく
苦しい気持ちが描かれています。
つらい描写に目を背けたくなる箇所もありましたが
史也は、妹との関係性がよく
そして梓ちゃんが登場してからは、読んでいても安心できるようになりました。
また、職場の上司がとても理解のある方でその方との出会いも大きいと思いながら読んでいました。
梓ちゃん自身もつらい話がありましたが、
史也と出会い二人が信頼のできる分かり合える関係性になっていったことが本当によかったです。
そして、史也の言葉
「~僕ら、これから取り戻すんだよ。僕らの人生、これから先、もういいことしか起こらないよ。絶対にそう」
という言葉が出てくるくらいに成長したことがすごいなと思いました。
幼児虐待を受けて、この話のようにうまく進むのは難しいのではないか
または現実はもっと厳しいということもあるかもしれませんが
この話の結末はとても前を向いている二人が描かれていて光のある終わり方でした。
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