『宝島』真藤順丈 読みました。
沖縄がまだアメリカ領で、返還される前の
米軍がベトナム戦争を行っている年代の話でした。
物語の舞台が沖縄ということもあって
沖縄弁が随所にありかなり物語の中に入っていくまでが
ちょっとてこずった感じはしましたが
一度お話の世界に入るとどんどん読みたくなる本でした。
沖縄の人がいかに、米軍基地と共に生きてきているのか
悲しい婦女暴行のニュースについて、遠い話と思っていたけれども
この本を読んで本当に怖いな、ひどいなと思い心に残りました。
また、母親と娘の絆についても書いてある箇所も同様に心に残り悲しくなりました。
施設で暮らしていた子どもを引き取りにきた母親について
不安要素はあったものの、子供はとても母親と暮らすことを喜んでいたので
施設を出たのですが…。
その最後は、無理心中となってしまうという悲しい結末で
娘はまだ幼いのに母親から、米兵に生贄のように差し出されていたり
それでも、キヨという子は、母親と一緒に暮らせるならいられるならと思う気持ちで、
周りが引き離そうとしても自分が離れたら母親が1人になってしまうと
周りから見ればどうしようもない母親でも、その子にとっては唯一の母親となると
もう他人が口出しできない。
一緒にいようとする子供の心が切なすぎる話でした。
たまに、同じような悲しいニュースを耳にすることもありますが
親子の絆のなんというかすごさみたいなものを感じます。
この本の舞台はコザで、沖縄について久しぶりに考えさせられました。
最近は海の綺麗な観光地という認識が大きくなっていましたが
やはり歴史を知るって大事だなと感じた読書でした。
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