『タラント』角田光代 読みました

『タラント』角田光代 読みました。
最初戦争のシーンが誰の話なのか分からなかったのですが
段々読み進めるとわかるようになります。

おじいちゃん清美さんの話と
孫のみのり
そしてみのりの友人達の話もメインに話が進んでいきます。

ここは少しナタバレなのですが、
みのりのチャレンジ精神のなさや責任を追いたくない姿は
なぜだろう?と思いますが過去自分が行った行動からくる
もう失敗したくない、失敗するなら何もしないほうがいいという経験則からだったのだと
わかりました。

みのりの姿に自分を重ねるところもあり
とても気持ちが分かりました。
若い頃の情熱のまま歳をとれる人や、みのりの友人の玲のように
前に前に進める人もいるかもしれませんが
やはりだんだん痛い目にあったり
失敗したりして、人は臆病になったり
挑戦しなくなったりするんだなあと思いました。
だから若いって本当に素晴らしいなと思います。

ただ、この本の中でも
清美もみのりも時がたって
また前に進もうというシーンがあり
とても感情が揺さぶられました。
このシーンもネタバレですが清美が涼花に書いた
「とべ とべ たかく たかく」
というシンプルな言葉にも感動しました。

そして、角田光代さんが書いてくれる
すごい人ではなくても、それぞれの立場で暮らしている
使命を持ってすごしている、それを才能とみなし
みのりのようななんでもない人と言ういい方もあれなのですが
市井の人の姿を書いてくれたこのお話がとても心を動かされ読んでいて
最後のほうのシーンで涙が出ました。

背中を思いっきり押されるような本とか
設定が日常と離れすぎている設定とか
そういうのではなく、明日もまた頑張ろうと
ふわっと背中を押してもらえる素敵な本でした。

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