『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』山本 文緒 読みました

『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』山本 文緒 読みました。
山本さんが亡くなったのは、2021年10月。
その知らせを知る前にちょうど、「自転しながら公転する」を読んでいてすごい本!おもしろいし素敵な本!
と思っていたので、とても悲しい気持ちになったのを覚えています。

この本を読むと、なくなった原因は膵臓がんで、診断されたのが4月
既にステージが4で、治療法はなかったようです。

最初は胃が痛いと思ってから病院にいき、胃カメラをしたら
イレウスの疑い、そして調べて、慢性胃炎となったのに、
その後も痛みが治まらず病院にいったら
胆管が詰まっている?詳しい検査をしたら、
腎臓がんだったという話です。
毎年人間ドッグもやっていたのに、こんなに見つからないもの?
呆然としたと書いてありました。

確かに、人間ドッグ毎年やってもみつからない腎臓がんって
なぜ!と読んでいて思いました。
怖いです。

この本のタイトルにもなっている120日は、余命が4ヶ月と診断されたことからです。
4ヶ月ってたった120日!という感想が切ないです。

また、この本の内容は、闘病記などあまり読んだことないので
比較できないのですが、著者が作家さんなので
本当に客観的に自分のことを見ていながら、なおかつ読者を意識して
書かれている内容だと思い、そこがなおさら読んでいて辛いです。

そして、お行儀のいい言葉や綺麗な言葉、
死を達観した感覚などが書かれているわけではなく
死が近くなったからといって、普通に純粋に今思う気持ちが素直に綴ってあって
とてもリアリティがあります。

死を前に、感謝やアルカイックスマイルなんて浮かべることはできない。
そんな簡単に割り切れるかボケといってみたり
全く小物感なんてない素晴らしい作家さんなのに、
自分のことをそういってみたり
このテキストを誰がよむのかなんてあったり
そういう何気ない文章に、もうこの作家さんの作品が読めなくなったんだなあと
悲しくなって泣かされます。

本の中に、勉強のための読書
こんな本をこの先書こうと思っていたというくだりも
残念だなあ、読みたかったなあと思いました。

頑固に、これは嫌ということが昔からはっきりしていたというところは
潔さがかっこよかったです。

そして、きっと作家にとって大事な存在の編集者の方とのふれあいの際の日記には毎回涙。
手を握って泣いてしまうシーンなど涙がこぼれました。
淡々と書かれているだけなのですが、そこがまた悲しいです。

最後までトーンが変わらず
日記なのに作品のようでした。
突然の病による死って本当に悲しいです。

やはり、普段は自分の死は遠いところにあるものと思って過ごしていますが
本を読むと1日、1日を大事に過ごさなければと思うし
家族と過ごす時間を大切にしていきたい
自分の大切なものを改めて考えました。


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