『少女を埋める』桜庭 一樹 読みました。

『少女を埋める』桜庭 一樹 読みました。
1冊の中に自伝的小説の本編とその本編についてさらに記載している「キメラ」「夏の終わり」が収録されています。

まずは「少女を埋める」を読んだときの感想は
地方と首都圏で育ったものの感覚の違いは大きいんだなということを認識しました。
この本の地方の舞台は、山陰地方「鳥取県」
育っている地方ならではの、肌感覚でわかりあえるところはやはりあると思うし、
また、作者自らが分析している、その地方ならではの気質、性質と言うのもあるのだろうなと思いました。

育つ環境や場所は、子どもの頃は選べないけれども
それで気質や性質まで類似してくるなんてやはり育つ環境からの
自分に与えるインパクトたるやすごいなと思いました。

本の中で著者が、多様性を重んじる思考や
「出て行け、もしくは、従え」というフレーズも用いつつ、
現代社会の時事問題をピックアップし、問題点を指摘しつつ話が進んでいくところも
おもしろかったです。

自分も子供を育てながら、自分の時代の話で進めないように気をつけたり
なるべく時代に合わせて柔軟な思考、姿勢でいたいと思っているので
本の中の冬子の言いたいことはすごく分かりました。

ただ、自分は変わることを受け入れたい、時代にそった考え方を尊重したいと思っていても
両親や田舎に暮らしている人の考え方まで変えることはできないため
そういう人と関わる時にいやな目に合った場合
何とかやり過ごしたり、あまり関わらないようにするということが
やはり自分の身を守ることになるんだろうなと思いました。
頻繁に関わらなくてはならない場合はつらいと思いますが。

また、違う内容ではありますが、
よくある子育てにおける世代間ギャップで祖父母と揉めたりする場合も
こういう例に当てはまるんだろうなと思いました。

物語は、最後「共同体は個人の幸福のために」と声を上げて終わります。
とても現代的な話で共感できたしおもしろい本だなと思いつつ
「桜庭 一樹」さんのの自伝的な本なんだなあとも思いました。

その後に収録されている内容は、この本が刊行されてからの騒動の話です。
新聞に掲載された内容について
「独自の解釈とあらすじは分けて書くべきではないか」という著者の訴えと
c氏とのやりとりがあります。
文学界を巻き込んで大きな騒動の内容が「キメラ」「夏の終わり」に記載されています。

私は、朝日新聞を購読していないし
おそらく新聞を購読していない層も
首都圏ではいる気がしていますが
これが地方の場合は異なるのだろうと思いながら騒動の内容を読んでいました。

著者はかなりのパワーを使ってこの騒動に立ち向かったと思いますが
「少女を埋める」はおもしろかったです。
また、新作も楽しみにしています。

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