『たおやかに輪をえがいて』窪 美澄 読みました。

我慢強いというか、思ったことをすぐ口にしない性格の絵里子が、
同級生の「詩織」と久しぶりにあって、話をしたり「詩織」の恋人「みなも」からも影響を受けて、
だんだん変わっていく話です。

夫が、風俗店のポイントカードを持っているところから話が展開していきます。
家族のためにと思い、家族のお世話をして生きてきた絵里子でしたが、
いつの間にか家族から当たり前と思われ感謝もされていない日常に。
しかも、夫からは裏切りとも思われる行為をされていて。

絵里子は自分の人生を生きているか?と振り返ると
「自分はおばさんだし」という言い訳で、ウジウジも何も決められない人になっていました。
それは、話の中で娘からも指摘されます。

思春期の頃、娘は何でも我慢して何も言わない絵里子に対してイライラしていることも反抗期のひとつだったみたいです。
絵里子はその時は、時間が解決してくれると何もアクションを起こさず、
自分が我慢すれば、時が過ぎればとノーリアクションだったのですが、
子供からしてみたら、何も言われないより反応して欲しかったみたいですね。

話し合うことや、相手に向かい合うことは大事なんだなと思いました。
また、母親が我慢している姿というのは、言葉にしなくても娘は見ていてわかるみたいで、
母親の犠牲の上の幸せだと、家族はやはり楽しくないんだなぁと思いました。

また、夫とも仕事が忙しいからと向き合わなかった結果、夫は風俗へ。
もっと関わりあいをしなかったことも問題で、
だんだん絵里子が変わって、1人の女性として自立していく様はとても素敵でした。

また、絵里子と母親の関係性も、おもしろいところでした。
大人になってから母親からの絵里子に対する思いを打ち明けられ意外性がありました。
母と娘でも人と人と考えれば、なんとなく合う、合わないというのはあるという話がリアルに描かれていて
読み応えがありました。

子育てをしていると、自分の時間なんてない時期はあるし、
自分のことに構う時間もないこともあるけれども、
やはり、自分の幸せあってこその家族の幸せで、
犠牲と感じるような形で家庭が進んでいき、成り立つような形にだけはしてはいけないなと思いました。

女性ならとても共感できる話だと思いますし、おもしろかったです。

著者インタビュー

にほんブログ村 子育てブログ ワーキングマザー育児へ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました