『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ 読みました。
読後、じわじわといい本だったなと思った本です。
大きく2編に分かれていて、前半が新夏
後半が神尾くん。
以下ネタバレ含みます。
新夏編を読んでいて、プロポーズをされてOKの相手が次の日に盗撮で捕まるなんて
一気に世界が天国から地獄、物事の振れ幅が大きすぎると思いました。
ただ、そういうときでも淡々と日常は進んでいくこと
仕事があり、ついつい考えてしまうだろうから、やるべきことがあるのはよかったなと思いました。
つらい時に、やることがあるというのはきっと誰しも救われるから
仕事というか、やるべきことを持っておくというのは大事だなと思いました。
そして、神尾君の両親と姉も結構ひどい対応で
家族なので直後は冷静になれないと思うけれども
新夏には厳しい対応の家族だなと思いました。
謝罪をしてあとはそっとしておく、恋人というのは
婚姻届け1枚とはいえ家族ではないという関係性なのでいろいろ異なるなと思いました。
新夏は啓久がやはりそんな事件を起こしても
何とかしたいと考え本当に頑張ったと思います。
でも結果無理だった。それは啓久も最後はわかったようです。
本人曰く、たった1回の出来心ということをどうとらえるか、
世の中には、不倫をされてもそのまま続ける人
別れる人、2人の問題なので外野が言うことではなくて
そのときそのとき2人にしかない答えがあるのだと思います。
だから、その結果をすごいとかすごくないとか
簡単に人が話していい話題ではないんだなということを深く思いました。
啓久編では、被害者の女の子の家庭環境が現代の設定らしく
ユーチューバーの家庭が画面で見せている姿と実際が異なる姿の描写がリアルでした。
また、新夏でも啓久編でも登場する友人葵の話も一つの意見として
きっと「この1件くらいで別れない→自分は優位に立てる、この1件で啓久のスペックを見限るのはもったいない」
そういう考え方もあるんだろうなと思いました。
それがはたして自分も同様の考えかどうかは否ですが、
どの考えも正解なんてないんだろうとも思いました。
カウンセリングの場の展開の話も興味深かったです。
痴漢をしてしまった人の表面と深いところの面、
その家族と啓久に対して抱いている気持ち、とても複雑で
その複雑な気持ちの揺れが表現されていました。
物事、はっきりとわかりやすい答え
正義とか悪とかそういう物差しで判断できることばかりではないということが
大人になるにつれわかるようになってきたので心に残りました。
なんだかわからないけれども今こうしている
そういうこともあるんだろうなと思いながら、痴漢をしてしまう夫と一緒にいる女性に対して思いました。
また、啓久が会社の飲み会で絡まれた際も本当に嫌な気分になる不快なシーンの話で
この事件に対する周りの人の評価の表現がうまいなと思いました。
今回啓久が起こした罪はそのくらい人から嫌なことをされてしまうということ
そして、そんな発言をする無神経な人間も嫌ですけど
リアリティがありました。かばった祥子さんの話の本音もリアルでよかったです。
この本を読んで、何とも言えない気持ちになり
こうやっていろいろ本が問いかけてくれること
読んだ後に、考えさせてくれる本、そういう本と出会えるのが読書の楽しみだなと思います。
最近読みたい本がたまっていますが
業務に必要な本を読む時間を取ると
そうではない本を手に取る時間が後回しになってしまい
今取り掛かっている案件が落ち着いたらたくさん読みたいなと思っています。
気になっているもの、購入して気に入ってるものや愛用品など載せてます



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