
『ホテルローヤル』桜木紫乃 読みました。
7編の短編がホテルローヤルを舞台に書かれている本でした。
「本日開店」は、なかなかの設定の話でした。
お寺の存続のために、檀家へ自分の身を投じる。
そういった世界が本当にあるか否かは別として
そんな状況を受け入れる幹子の心情や生い立ちも
特殊な話でした。
「えっち屋」はラブホテル経営を始めた父を持つ
ラブホテルが実家の娘。結果的に父が経営できなくなり娘が引き継いでいた話です。
そして、最後の日に、大人のおもちゃを販売していた会社の社員とのひとこまの話。
なんだか、切ない話でした。
「せんせい」も、妻を紹介した校長先生と妻がつきあっていて
妻にずっと裏切られていた話。
野島広之という男性教師なのですが、かなりひどい設定な話でした。
「星を見ていた」は、ホテルローヤルの清掃員、ミコの話。
いろいろ周りから大変だと思われているけれども
それを大変と思わず、自分の親から言われた言葉を守って
暮らしているミコ。
「誰も恨まず生きてけや」
「おとうが~ それさえあればなんぼでもうまくくのが夫婦ってもんだから」
「いいか、ミコ、何があっても働け、一生懸命に体動かしてる人間には誰もなにも言わねえもんだ。
聞きたくないことには耳ふさげ。働いていればよく眠れるし、朝になりゃみんな忘れてる。」
いろいろ知識がないことで逆にシンプルで潔い。
そんなミコの話は心に残りました。
「ギフト」はホテルローヤルが建つまでの話。
大吉がホテルローヤルを建てるのは、普通にかなりやばい感じの話だったのに
そういうのをわからずに建てて大変になっていく感じの未来が見える話でした。
ただ、一時は幸せを感じて夫婦になった瞬間のいい時もあったという話でした。
全体的に、ラブホテル「ホテルローヤル」が舞台なので
特殊な話が多かったですが、
それぞれの人生がぎゅっと描かれていた話でした。
映画化されているのを本を読んだ後に知りました。
また、作家の方はラブホテルの娘だったようです。
経験したことをそのまま書いているわけではありませんが、経験が書かせる一行もあったのではと思っています。
とのことです。
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