『なぎさ』 山本文緒


『なぎさ』 山本文緒を読みました。
女流作家さんの本は好きなので、よく読んでいるのですが
山本さんの本は久しぶりのような気がします。
出版も久しぶりなのでしょうか。小説 野生時代の連載だった本です。
不思議な関係性の夫婦の住んでいる久里浜
に妹がやってきてから話の展開が進んでいく内容でした。
少しづつ、いろいろな人のエピソードが進んでいくスタイルで
興味深く読み進められました。
姉冬乃と妹菫には逃れられない問題のある親がいて
それがきっかけで、姉妹仲がうまくいかなくなっていたり
冬乃とだんなの微妙な関係もその親が原因だったということが
だんだんわかってきます。
問題というのは、娘にお金をたかる当てにする親という姿で
親として、人として、そうはなりたくないなあという姿でした。
でも実際にはそういう人はたくさんいるんだろうなあとも思いました。
そして、他人にならいくらでも冷たくできても肉親には絶対心の底から
冷たくすることなどできないので難しい問題を扱った内容だったなと思いました。
冬乃と菫は久里浜でカフェを始めて、途中で終わってしまうのですが
いろいろ悩んだときに、冬乃が勝手にそう呼んでいた所さんという人が
いてくれてそれが救いだなと思いました。
私も人の親になったので、娘にはこんな思いは絶対させたくないと思ったし
しっかり生きていきたいと思いました。

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