『こまどりたちが歌うなら』寺地 はるな 読みました。

『こまどりたちが歌うなら』寺地 はるな 読みました。

街の和菓子屋さんが舞台で働いている従業員「茉子」からみた話でした。

茉子は気になった物事についてはっきりと言うタイプで
おかしいと思ったことは、おかしいというタイプ。

老舗の小さな和菓子屋「吉成製菓」では、
大企業などでは普通に守られている就業規則が
暗黙のルールでなかったりしてそれに対して疑問を持って発言しています。
「パワハラ」まがいの後輩指導や
残業するけどタイムカード押さない、電話番しているのに昼とみなすなどなど。

自分の勤めている会社では、そういったルールは守られていますが
おそらくこういった規模の会社ではそういったところがありえる。
曖昧なんだろうな~と想像でき環境の違うところから転職したら大変!と実感。

茉子は、思ったことははっきりと言うタイプですが
以前の勤めていた会社で疑問に思いながらもそれが日常になり
流されてしまったところがあり、それを後悔しています。
また、自分は物事の一面しか見れてないのでは?と悩みながら
人への見方について思案し、他の角度からの見方も学んでいくところがこの本の面白さでした。
また、茉子が物事を選べる、発言できるというのは、家庭の環境のよさでもあるのではと
そうではなかった「満智花」を対比に最後に気づきがあるところもよかったです。

一見気が弱そうな社長の「信吾」、
その「信吾」にだから素直に本音を話せた「正置」
元々はおそらく似たもの同士の「亀田」だったが
シングルマザーになった環境から少し変わった「亀田」
パワハラ上司まがいの「江島」
いろんなタイプの人が登場して、その人なりのバックボーンがある。
その人なりの考え方、こちらの面とあちらの面など、
表裏みたいなエピソードもあり納得させられた本でした。

茉子の元気さに勇気をもらい、悩む姿に同様に好感を持ち
読後、自分も片側だけの面を見てその人だと決め付けないようにして
人と接していきたいなと思った本でした。
また具体例として「だいじょうぶ」と聞いたら「だいじょうぶ」としかいえないというような
エピソードも心の残りました。聞きかたって大事。
自己満足にならないような声かけをと思いました。

最近、業務に必要な実務に関係する本を読むことが多いですが、
やはり小説っておもしろい読書っていいなと思ったおすすめ本です。


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